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競争力「世界30位」に転落

日本の競争力「世界30位」に転落

マネーボイスでもすでに取り上げられていますが、スイスの有力ビジネススクールIMDが5月28日に発表した「2019年の世界競争力ランキング」で、日本が総合順位を前年より5つ下げた30位に後退したことが明らかになりました。

麻生財務大臣「日本の競争力が低いと考えたことはない」

これに対して、あのひょっとこ爺で自国民には偉く愛想が悪くしかも威張り散らすのがお得意でいらっしゃる総理経験者の財務大臣が、記者からの質問に対して「たまたまそれがそうだったからと言って、日本の競争力が低いと考えたことはない」と、独善的な判断を示していることが悪い意味で話題になっています。

この人物、とりたてて私が嫌いだからということを別にしても、実態経済を直視できない、あるいはあえて事実と異なることを扇動しようとしている可能性が極めて強く、経済財政についてはエキスパートを自称していますが、実は相当な張り子のトラなのではないかと思い始めています。

麻生太郎財務相は昨年12月14日の閣議後の記者会見で、景気拡大期間が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えたが賃金が上がっていない状況を問われ、「上がっていないと感じる人の感性」の問題だと発言。

認識が低くても、故意の嘘つきであっても、政権内にこういう人物がいること自体が問題になってきています。

また秋の消費増税を巡っても、今や日本政府屈指のデータ改ざん専門機関と名高い内閣ですら、5月13日に3月の景気動向指数で、一致指数の基調判断を景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に引き下げても、麻生氏は平気で景気は緩やかに回復と言い続ける始末です。

漢字が読めない、空気が読めない、読むのは専ら漫画だけというのは、ご本人の問題ですから仕方がありません。しかし、経済が読めないのはかなり大きな問題です。

今の政権を含めて、平成の30年間ほぼ政治の中心にあった自民党が経済政策のグランドデザインを描くことができずにここまで来てしまったという、基本的な認識の低さを端的に露呈させた発言ではないかと呆れます。

平成30年間での日本の衰退はもはや明らか

平成の終焉で、平成元年には世界時価総額ランキング20社に14社も入っていた日本企業はすべて消え失せました。かろうじてトヨタ自動車が35位に踏みとどまっているだけという厳しい状況に変化しています。
※参考:昭和という「レガシー」を引きずった平成30年間の経済停滞を振り返る – ダイヤモンド・オンライン(2018年8月20日配信)

特に驚かされるのは、上位にあった銀行が統合してメガバンクになり経営状態はボロボロで時価総額を語る話ではなくなったこと、それ以外の銀行はそもそも消滅してしまったこと。また原発で大事故を起こした東京電力と、それに追随する東芝や日立製作所もボロボロの状態で、世界の時価総額とは何の関係もない状況に陥ってしまったのにはとにかく驚かされます。

自助努力でのし上がってきたソフトバンクグループファストリなどは確かにありますが、米国でITの領域で新たな産業を築くことになった「FAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)」のような存在はまったく見られないのが、日本の産業の大きな特徴になっていることを改めて気づかされる次第です。

新たな産業を育てる視点は皆無の安倍政権

この30年の経済政策の失敗は、何も足元の政権だけのせいではありません。

しかし、21世紀に入ってからかなりの時間を麻生政権と安倍政権が担ってきたわけですから、人口減少高齢化国内産業の衰退貿易立国の地盤沈下といった大きな問題の中で、新たな経済をけん引していくような俯瞰的な政策のデザインが一切実現できなかった、正確にいえば手を付けることさえもできていないことが、国際的な競争力を大きく下げる要因になっているのは明らかです。

働き方改革」といえば安い賃金の外国人労働者を導入することに躍起になり、年金の受給年齢を後ずれさせて死ぬまで1億総労働社会を形成しようとしているだけで、実質賃金は下がるばかりですから、民力だけで経済成長率を高めるのはもはや無理な状況です。

国際金融市場の投資家は実によく見ている

ここのところ日本株は、世界の主要国の株が大きく下落すると、そのご相伴にあずかる形でいっしょに下落して大きく戻ることはほとんどない状態が続いています。

中央銀行が無理やり買い支える株式相場のリスクをよく知っているファンド勢は、一時的な小遣い稼ぎのためにはたまに日本の株式市場に資金を投入しますが、売り浴びせで利益を得ることも非常に多く、海外の投資家は日本株投資がまったく魅力的でないことを一番よく知っているのが正直なところなのではないでしょうか。

Sell sideのアナリストや投資助言業の皆さま方は、ことあるごとに日本株のPERやPBRから割安感を訴求し続けていますが、もはやそんな物差しで日経平均を買う時代ではなくなっていることを冷静に考えなくてはなりません。

我々は自らが意識している以上に速いスピードで三流国へと転げ落ちる坂道を駆け降りているという認識を欠いてしまうと、ここからの投資では大失敗をする可能性が高まります。

麻生大臣のこの虚言・妄言は、そうして事実誤認の大失敗の根源をなすものとして理解する必要がありそうです。







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